3センチ7ミリ

美浜町にできた年縞博物館。三方五湖のひとつ、水月湖の湖底の堆積物の縞が年代測定の世界標準物差しに認定されています。休日の午後、ゆっくり見ることができました。7万年分のきれいな縞がステンドグラスにされて展示されています。大きな川が流れ込んでいない(水がかきまわされない)、水深があって酸素がないから生物がいない、断層があって湖が埋まるより早く地盤が沈みこむ。三つの奇跡が重なってできたそうです。大昔の植生や気候変動、火山活動までわかるといいます。高速道路から降りてすぐです。訪れてみてはいかがでしょう。

年縞の長さは45メートル。一年分は0.7ミリですから、たとえば大化の改新から今までで96センチ4ミリ。関が原の戦いから29センチ5ミリ。明治維新から10センチ5ミリ。教科書に載っている出来事はほとんど1メートルに収まってしまいます。ちなみに、私の人生は3センチ7ミリ。なんて薄いんでしょ。

二階で用事を済ませて戻ってきたら、事務室前で遊んでいた4歳児の男の子たちにつかまりました。ヤンチャ坊主たちです。「木になってや!木!木登り!」両腕を拡げた私によじ登って肩車になります。テッちゃんの番です。テッちゃんは三姉弟の末っ子。鬼ごっこが大好きな活発な子です。調子にのって私のメガネをつかもうと…メガネは床に落ちましたが、無事だったので、※まあいいか…その場を流そうとした矢先、「ダメでしょ!」事務室から出てきた妻。「メガネはさわったらダメって言ってるでしょ!もう遊ばないよっ!」ふだんおだやかな人の剣幕は効きます。その場で固まるテッちゃん。ヤバッって感じで一目散に部屋に戻る男の子たち。で、ちょっとバツがわるい私…えーっと…事務仕事を再開しました。たしかに、遠近両用レンズは安くないしな…。

15分ぐらいたった頃でしょうか。ふと、廊下側の窓をみると、テッちゃん。半分、顔を出したり、引っ込めたり…。「ほら、みて、仲直りにきたみたや、もういいやろ」もう妻も笑っています。「もうしないよね」「ウン!」よーし、廊下に出る私。テッちゃん、最高の笑顔。大声でみんなを呼びます。さっきよりさらに盛り上がって遊びました。

なかなか味のあるやりとりでした。拾い上げたらきりがないけど、保育園には毎日、ひとりひとりに、こうした小さなエピソードがあります。つながったり、ぶつかったり、揺らいだり、押したり、引いたり…子どもと子ども、子どもと大人、人と人が織りなすドラマの積み重ねが、人を育てているのですね。

秋が深まって、来年度の入園申し込みの時期です。「園長先生、お久しぶりっす」かつて一緒に遊んだ園児がお父さんやお母さんになって戻ってきました。ひいおじいちゃんの時代から続く二葉保育園。80年だから、年縞にしたら5センチ6ミリ。けっして薄くないと思います。たくさんの人が育った軌跡ですから。

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