アンザイレン
朝夕は涼しくなりましたね。わが家の庭の植物も、俄然、元気になってきました。毎朝、アサガオが一斉に開花します。万願寺とうからしも、甘みが増して、いい感じです。ひとつ、扱いに困っている作物があります。その名はハバネロ。あのスナック菓子のイラストがおもしろくて、ノリだけで苗を育ててしまいました。豊作です。青い小ぶりのピーマンみたいな実が、今はあざやかな朱色になって、まさに「食べごろ」。ネットで調べてみたのですが、調味料を作る以外のレシピが見つかりません。しかも、素手で触れてはいけない、汁が目に入ると失明の恐れ…いやはや、やっかいなハバネロくん。どなたか、いいアイデアはありませんか。
たこ焼き食べた!鉄砲もらった!キラキラの腕輪買ってもらった…。休み明けの保育園は大寄りの話題でもちきり。父の逝去で「今年の大寄り、どうしましょう」と聞かれ、ほんの一瞬、躊躇しましたが、子どもたちの顔が浮かびました。地域のみなさんが楽しみにしている行事。お参りをして、盆踊りをする縁日です。例年どおり、やってよかったです。
地球ゴマ、がまの油、ハブ対マングース…70軒とか、境内だけでなく、道路にも露店がずらっと並んでいた昔を知っている私たちは、お店が減って寂しいかぎりです。それでも、人出は変わりません。懐かしい人、親しい人で、あちらこちらで交わされるあいさつ。笑顔、楽しい会話。大寄りは、地域の人の縁をつむぐ、大切な行事です。もともと「大寄」は「人を大勢寄せる」という意味です。にぎわいを残していく工夫をしていかないといけません。
今朝、居間で寝転がったら、あらら、机の下が消しゴムのカスだらけ。昨晩遅くまで末の息子が読書感想文と格闘した残骸です。夏休み後半はのんびりしているし、さすがに中学三年は受験があるから、感想文は免除なのかと思っていました。「息子三人、八月の終わりはいつも、自由研究に読書感想文…大変やったな。今年はやっと、ゆっくりできる…」と妻と話していたのに、大寄り前の26日あたりから、本を物色しはじめ…「おい、まさか、感想文、あるんか?」「う、うん…」「なんでいままで放置してたの?パソコンで動画見てばっかり…」「うるさいな、わかってるよ…」トホホ。
彼は本棚から日航機事故のドキュメンタリーを取り出してネットで調べているようでした。事故から30年です。「だったら小説の<クライマーズ・ハイ>はどうや?」命の重さはもちろん、事件に直面した地方新聞社の人間模様、山登り、父子の葛藤とかも丁寧に描かれているし、いい題材です。「ちょっと難しいれけど、アドバイスはするから、がんばれ!」。
必死で机に向かっている息子…わが家の16年間にわたる義務教育の最後の夏休み、その締めくくりも結局、夜なべ仕事か…。なぜか、シミジミする私でした。
さあ、運動会の練習がはじまりました。日ごろの遊びに加えて、目標をもって取り組むことがでてきます。お子さんにとって、はじめてのチャレンジ。とくに、すみれ組の竹馬。お父さん、お母さんや、おうちの方の協力、というか、大人もいっしょにがんばる姿勢が本人をやる気にさせます。忙しい、疲れている、面倒だ…そんなこと、わかっています。それでも、ぜひ、ぜひ、付き合ってあげてください。これから、小学校、中学校、がんばる場面がどんどん増えてきます。親子が一対一で向き合って、距離を縮め、絆をグッと太く強くする、最初のきっかけ、いい機会になります。
小説「クライマーズ・ハイ」に出てくる登山のシーン、父と子の関係にからめてアンザイレンという言葉が出てきます。急な崖を登るとき、二人でザイル(ロープ)を結びあい、助け合い、運命をともにすることです。おおげさですが、親と子、気持ちだけはアンザイレン、ですよね。