ガラクタのあるお部屋

「確認できる“幸せの形”」「育てよう家族の種を、咲かせよう笑顔の花を。」

住宅会社のキャッチコピーです。広々としたリビングにアイランドキッチン。かわいらしい子ども部屋。コマーシャルに出てくるおうちはステキですが、人の喜怒哀楽が生み出すぬくもりは感じられません。
新築したての頃の我が家の写真。ハイハイしている長男のまわりはスッキリ、何もかもピカピカです。あれから16年…いまや家具に囲まれ、物も増え続けて、棚には本があふれ、テレビのまわりもぎっしり。それでも旅先から帰ってきて、「やっぱり家がいちばんやな」ってなります。家は家族みんなが落ち着く場所なのです。落書きやキズまでもが家族の歩みそのものですね。

今の家を建てる前、つまり私が育った家は父の思いが詰まった昭和モダンでした。レンガ積みの壁にシステムキッチン、50年前にシャワーがあった家は珍しいでしょう。屋根裏部屋もありました。一階の壁に立てかけてある梯子を引き出して上がります。大きめの天井板を潜水艦のハッチのように持ち上げると、そこが「ヒミツの部屋」(と、父が自分で呼んでいました)。子どもでも頭をぶつけそうな三畳ほどの小部屋の真ん中に裸電球が吊ってあり、小机の周りには万力、金床、グラインダーなどの工具類が並びます。大きな木箱の中にはガラクタとしか思えないような部品類、電線やスイッチ、金具などがたくさん、投げ入れられています。捨てるのが大嫌いだった父。不要になったものでも、何かに使うかもしれない、とりあえず取っておく、という感じです。

書斎もありましたが、時々ここで何やら工作らしきものをしていた記憶があります。私が「おもちゃが壊れた」といえば屋根裏に持って上がっていき、たいてい翌朝には治って再び遊べるようになっていました。ヒミツの部屋の梯子を引き出すときのワクワク感は今でも忘れません。

先日、次男がロボットコンテスト全国大会から意気揚々と帰宅しました。先生にもんじゃ焼き屋さんや秋葉原にも連れて行っていただいて、東京を満喫してきたみたいです。

それにしても、ひどすぎる…次男の部屋の散らかりようには唖然とします。足の踏み場もない。窓際にはプラモデルの箱が壁のように積んであります。掃除してきなさい!ゴミ袋を持たせました。「終わった」って、どこが変わったの?ゴミに見えても彼にはゴミではないのです。妻はもう関与しないことにしたようです。そんなイビツで変わり者の次男の部屋とおじいちゃんの屋根裏部屋のイメージが少し重なります。凝り性の遺伝子を受け継いでいるのはいいですが、高校入試という現実が間近に迫っています。第一志望は残り枠21人。親が子の心配をするのは仕事とはいえ、ジェットコースターのように乱高下する成績に、気が気ではありません。

ところでお母さん、やっぱり雑然としたお部屋はイライラします?

ふだんの園児の様子をみていて、どうも創造は混沌からしか生まれない…ような 気がするのです。あえて遊びの材料を残しておくとか、テキトーな片付けもいいかもしれません。まあ、ほどほどが難しいですけどね。

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