道のり

「とびばこ、三段とべた!とべたんやで!」

女の子が走り回って喜びを表現しています。練習して、練習して、やっととべた三段は、八段にも、十段にも相当する価値がありますね。よかったね~、やったね~、運動会、楽しみやな…晩ごはんのとき、おうちでそんな会話が弾んだことでしょう。

スイミングスクールのお迎えにいく車中、ささいなことから、夫婦で言い合いになったことがあります。「いつまでも10級になれないし、習ったことが一週間後では忘れてしまうでしょ。かわいそうだから週二回にすれば…」進級テストを何度受けても合格しない息子に、妻はやきもきしています。確か、当時の10級というのはクロールへの大きな壁だったような気がします。器用な子は学年が下でも、とっくに18級ぐらいになっています。

「友達と遊ぶ時間を削って、週二回にして、早く10級になったところで、次は11級、12級…同じことが続くんやろ。早く上に上がっても同じだと思う。いま、大いに苦労して、悩んで、いっぱい泳ぎを練習すれば、いいじゃない。そのことにきっと意味があると思う。運転免許でもストレートで早く合格するより、みきわめで何度も落ちて練習したほうが事故は少ないというし。週に二回にする必要はないぞ」

私はふつうに持論を言ったつもりなのですが、妻は怒り心頭。エエッなんで!?安全運転を心がけるのが精一杯でした。

今では中学生、ふつうにクロールや背泳も楽しめるわけですから、あのヤリトリはなんだったの…ということになりますが、彼女なりに精一杯、息子といっしょに壁を乗り越えようと悩んでいたのだと思います。私の一歩引いたような姿勢に腹が立ったのでしょう。

常に目標をもって、つぎつぎに達成することに意義を見出していく努力家タイプの妻と、目標はあるけれど、それに向かう道のりにこそ意義がある、という私ではどうしてもスタンスに違いがでます。みなさんはどっちタイプ?息子にとっては、両親が別々のタイプでよかったと思いませんか?

運動会の竹馬、跳び箱あたりは、もしかすると、お子さんが最初に出会う段差かもしれません。大人にとっては、小さなことでもお子さんにとってはヨッコラショ。いままで可愛くて、ちょっぴり生意気…なだけだったわが子、わが孫が、ひとりで段差をよじ登ろうとしている姿に気づかれましたか?

わが子が転んだり、ぶつかったりしたとき、親は痛くないのに、思わず「イタッ!」って言ってしまいますよね。同じように、子どもがチャレンジしている姿をみたら、自分も思わずヨイショ、ヨイショ…という気持ちになります。お父さんが、お母さんが、じいちゃんが、いっしょに練習に付き合ってくれた…ずいぶん心強かったはずです。ぜひ、ガンバレ!だけじゃなくて、「がんばってるな…」お風呂でゆったり言葉をかけてあげてください。

運動会はもちろん、秋晴れを期待しているのですが…こればかりはどうにもなりません。練習を積んできたみんな、これまで、毎日すばらしい姿を見せてくれて、ありがとう…です。本番をお楽しみに。

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