「かわいそう」と「おいしい」の間には
「タコいらんかぁ?」
魚屋さんじゃありませんよ。ニコニコ顔で門に現れたのは味真野小学校の奥谷校長先生です。手には活きた大きな蛸が…「よろこんで!」《校長先生のタコ》はこれで3回目です。
さっそく、タライに入れて各クラスに見せてまわりました。遠巻きにして見る子は「なんで赤くないんやぁ」。蛸は脚をヒョロ~ッと伸ばして、タライから脱出しようとします。意外とすばやい動きに、「キャ~ッ」と部屋中が大騒ぎ。その脚をグイッと掴んで持ち上げるツワモノの男の子は、自分の指を舐めて「しおのあじや~」。
その後、すみれ組には蛸を塩もみするところを見せました。「バッ」と塩をかけると、墨を出しながらどんどん縮んでいきます。当然、「かわいそう」という声が出ます。「かわいそうだけど、お肉でもお魚でも、だれかがしないといけないのよ…」と栄養士。茹でたては鮮やかな赤色。一切れずつ食べました。「かたいなぁ。でも、おいしい!」
さっきまで、「かわいそう」といっていたのに、「おいしい」に変わってる。なんて人間はイイカゲンなのでしょう。いやいや、「かわいそう」も「おいしい」も両方あるからこそ、人間なのです。
昔は「かわいそう」と「おいしい」は隣り合っていたはずですが、現代は、便利な「流通」という、とてつもなく分厚い壁があります。とる人、さばく人、売る人、食べる人…互いの顔が見えません。「かわいそう」と「おいしい」にはとんでもない距離があります。パックに切り身になった魚や薄切りになったお肉では、食べ物になる命の痛みもまったく見えてきません。両者がまったく別々に割り切れてしまいます。
「かわいそう」と「おいしい」。矛盾しあう言葉をつなぐのが「いただきます」なのでしょう。
今回はおかげさまで、蛸さんの痛みを目の当たりにしました。心から「いただきます」が言えたと思います。校長先生、ありがとうございました。
中央公園に新しい図書館ができることになりました。来年度着工だそうです。蔵書も30万冊と大幅に増え、親子連れにも配慮された、みんなが楽しめる洗練された図書館になりそうです。
ただ、駐車場を拡張するため、アスレチック遊具は撤去されることになっています。
中央公園にあるコンクリート製のアスレチックをご存知ですか。子どもたちが大好きな場所です。菊人形のとき、観覧車やモノレールなど、有料遊具でひととおり遊んだ後、しめくくりのひと時を過ごします。登ったり、つかまったり、滑ったり…いろんな要素が組み合わさっている、なかなかよくできた遊具です。しかも、円形なので、子どもが外へ出ません。見ている親も比較的安心です。
後日、現場を調査してきた事務局の方からうれしい言葉を聞くことができました。「確かにたくさんの方がいらっしゃいました。全くそういう視点が欠けていました。おおいに参考にさせていただきます。」すぐには無理でも、必ず代替の大型遊具ができるはずです。図書館も遊具も、お楽しみに。