じいちゃんの軽トラ

祖父母の会、お孫さんたちとのひととき、いかがでしたか。

お堂に響く歓声に、仏さまも目を細めていましたよ。孫と子は全然違う、と誰もがおっしゃいます。引っ張りまわされてヘトヘト…それが幸せなのでしょう。相思相愛の姿、見ていてうらやましいです。私はまだまだまだ先ですが、跳んで走れるジイジをめざしたいと思います。

福井ではクルマに乗ることが自立への一歩。長男の自動車学校の卒業検定。夏休みの頃にはコースにいっぱい行き交っていた教習車も、いまは数台。検定前に指導員さんと記念撮影する女子。合格が前提なのでしょうか。私は18歳の春に3回も卒検に落ちました。「コウサテンヨシ」「マキコミヨシ」とかセリフを言いつつクラッチ踏んで、シフトチェンジして…そんないっぺんにムリ!って、頭がパニックになったものです。

やはり時代が違いますね。全員が合格していました。ハンドルを握る責任の重さを自覚して、いいドライバーになるんだな!って言ったら、「そんなこと言うけど、高速で百○十キロ出したことあるやろ」小さな頃のことを覚えているものです。あ、あのときは…口ごもってしまいました。面目ない。みなさん、せいぜい真面目に運転しましょう。

まだ下には自立に遠い息子たちがいて、雨の日に高校に送ったりします。当たり前ですが、同じ時間に出ると、人もクルマも同じ場所ですれ違います。みんなそれぞれの人生の、それぞれの朝を迎えているのです。信号待ち。バックミラーには後ろについた軽トラック。おじいちゃんと高校生の女の子が並んでいます。共働きが多い福井では高校生の送迎の半分は祖父母が担っているのではないでしょうか。おじいちゃんがしきりに話しかけていて、孫もひとこと、ふたこと、返しています。女子高生にはどうでもいい、面倒くさい質問かもしれませんが、無視したりはしません。よく見かける光景です。祖父は勉強や部活で疲れている孫を気遣って、孫は実は会話がズレまくっている祖父を気遣って…そんな感じでしょうか。

仕事で忙しい若夫婦を助けて、孫の世話をしてきた祖父母。ときには泣く孫をなだめすかして、毎日の保育園の送迎。買い物にも、畑にもいきました。オヤツを食べさせないで!お嫁さんとの間に入ってヤキモキしたことも。でも、孫は育つのです。中学生にもなると、甘えることも少なくなります。忙しくもなり、会話も減ります。高校になると余計です。そこに咲く最後のひと花が「じいちゃん、お願い!」「ばあちゃん、雨やで送ってや!」。高校の送迎なのです。孫が運転免許をとるまであとわずか。小さな車の中の、祖父母と孫の名残の時間。港を出る船のように、ゆっくり離れていく孫の姿は頼もしくもあり、寂しくもあり…でしょうか。

すみれ組はお昼寝がなくなりました。お布団を持ってこなくなって、卒園まで、あと半年。何年間も送り迎えをしてきたおじいちゃん、おばあちゃんは、少し、しんみりしたりしませんか。深まる…って表現するのは秋だけ。木々の色も、思いも、深まりますよね。

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