鼠一匹、大山鳴動。
鼠一匹、大山鳴動。「トントンチチチ…」はじけるような元気な声と太鼓の音がきこえます。万葉まつりの太鼓の練習がはじまると、早くも新緑まぶしい初夏の到来です。
桜の頃には毎朝、玄関で火がついたような泣き方をしていた新入園の子。いまは「わかっているけど…」というような、ちょっと理性的な泣き方になりました。部屋に入ってから立ち直りも早く、ほら、もう泣き声は聞こえません。「おうちもいいけど、保育園も結構、楽しいぞ」と感じはじめているのです。
人間とはその名のとおり「人との関係」の中で生きる存在です。お母さんの懐から離れるというのはお子さんにとってタイヘンな飛躍(親にとっても!)ですが、他の子たちと群れ遊ぶことでしか得られない経験があります。園長の長男は中学生ですが、1歳半で入園したとき、「ほいくえん、ヤー!イカナイ!」って車のシートにしがみついていました。子どもの心にも晴れ、雨、曇り…いろいろあって大きく育ちます。どうか長い目で温かく見守ってあげてください。
ね、ねずみ~!!台所から妻の突拍子もない声が聞こえました。
数日前から、夜になると居間の隅からゴソゴソ物音がしていました。ヘラクレスカブトムシの飼育器もあるので、それかと思っていました。
家が建って12年、ねずみが出没するなんて…。早速、ねずみ捕り器を買ってきて部屋の隅にセットしました。トンネルを通ると両側のふたが閉じるしくみです。翌朝、ふたが閉まっていて、コトコト音がしています。灰色がかった体長4センチぐらいのネズミ。説明書には容器を水没させて…と、恐ろしげなことが書いてありますが、車で遠くに放しにいきました。もう来ないでね~。
衛生的に嫌われ者のねずみですが、不思議と昔話で悪役は聞いたことがありません。「ねずみのもちつき」「ねずみのすもう」「ねずみのよめいり」「おむすびころりん」など、大人しく正直、勤勉で子沢山なキャラクターで、縁起物によく使われます。十二支にも入っていますね。災難の前にはねずみが家から逃げ出すといいますから、うちはまだまだ大丈夫なのでしょう。
大山鳴動してねずみ一匹…の逆で、ねずみ一匹、妻は大騒ぎ。あまり掃除に気合を入れすぎて、二日ほど寝込みました。「冷蔵庫に焼きそばと野菜と豚肉あるから…」「よし、わかった」と、豚肉を炒めて、野菜は…おっ、モヤシがある!ひとつ、ふたつ…みっつともいれてしまえ!隠し味にブランデーをちょこっと…。「ほら、できたぞ、お父さんのスペシャル焼きそば!!肉も野菜もたっぷりや!」長男、次男は「うん、まあまあいける」と食べてくれましたが、三男は「ママのほうがよかった~愛情こもってるも~ん」とプンプン、ふくれています。…なんで、愛情こめたぞ。「そば3玉にモヤシ3つ!キャベツとか、ニンジンとかタマネギもあったでしょ」と妻。野菜って…モヤシしか入れていませんでした。
デタラメ焼きそばを嫌がらずに食べてくれた二人のお兄ちゃんと、正直にふくれた三男。みんな、それぞれの愛情表現ですね。妻がうれしそうです。やっぱり、ねずみは小さな福を、運んできたみたいです。