お茶の香りとおサルさん

鮮やかな若緑色とさわやかな香りに包まれて、今年もすみれ組が中野農園さんで茶摘みを体験させていただきました。「夏も近~かづく 八十八夜 トントン♪」女の子が上手に茶摘み歌を口ずさみます。おばあちゃんに教えてもらったそうです。約1時間でみかん箱八分目ぐらいになりました。それでもたったの2キロ。茶摘みは大変な仕事なのですね。いまは中野さんだけになってしまいましたが、かつて味真野はお茶の産地でした。家や畑の地境にお茶の木が多く見られるのはその名残りです。ほどよい渋みにほのかな甘み…昔から変わらぬ素朴な味を楽しむことができるのは幸せです。

今や味真野の里はおサルさん騒動の只中です。小学生に石を投げられたりしているから、子どもを盛んに威嚇します。本山では低学年の子が追いかけられました。私も昨秋、保育園の外階段を上がったところで、手すりにちょこんと座って柿をかじっているおサルさんと対面しました。びっくりも通り越して、「お、サルや…」としか言葉が出ません。相手も不意をつかれて固まっています。互いに目を合わせ、二人?の間に微妙な緊張が…大したヤツではないと思ったのか、悠然とお隣の製材所のほうに降りていきました。体格は大きく、すみれ組の子ぐらいありました。畑には作物があるし、生ゴミもたくさんあるし、里は山よりもずっと住み心地がいいのでしょう。おサルに悪気はないし、どこに住もうが勝手ですが、「危ない」「怖い」という声を聞くと、いつまで共存が続くのか、気になります。

今朝は保育園のかわいい子ザルちゃんたちが、ぴょんぴょんジャンプして玄関で待ち構えていました。今春入園した3歳児の男の子たちです。「あそぼ~」「なんかして~」。まずはロケット遊び。両脇を抱えてほんの少し、上に投げるだけのことですが、フワリと浮かび、ゾワッと落ちるスリルが楽しいのでしょう。すみれ組になったら、もっと高く投げてあげるからね。今度は床に寝転んで丸くなりました。ヒザの裏を軸にしてグルグルまわす「ダンゴ虫」がご所望です。体が柔らかいのでクルクル良く回ります。上体を起こして「なんだこりゃ~!」「よっぱらった~」。目が回っている不思議な感覚をしばらく楽しんでいます。みんな、お友だちの迫力に圧倒されたり、物を取られて泣いたり…はじめて出た「社会」に戸惑いながらも、ダイナミックな日々の楽しみがわかってきたのですね。

私も何だかうれしくなって、ニコニコしながら歩いていたら、4歳児の女の子が手招きしています。何?「ちょっと、お茶のんでいきね」あらあら、いいんですか。水筒を出してきて、「ここに座って」「はい、どうぞ」と正座して、冷たいお茶をふたいっぱいに注いでくれました。お母さんが用意されたお茶を私がいただくのは気が引けるのですが、せっかくですのでありがたく頂戴しました。おいしいお茶でした。さすがお茶どころの娘さん。おもてなしが上手です。きっと家でお客さんにお茶をすすめているのを見ているのでしょうね。

子どもは大人の生活ぶりを遊びにどんどん取り込んでいきますね。生活の中に遊びがあり、遊びの中に生活があって、遊び、生活、学び…学校の教科のように分けることはできません。だから、大人は心の隅では子どもの「お手本」であることを意識して生活したいもの…とはいえ、胸に手を当てると、結構、チクチク、思い当たることがあります。ほんとに、お手本にならないと。

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