タイムカプセルから

色あせたカルピス詰め合わせの箱に「化石 3の1藤光真」とマジックで書かれています。
小学校3年生のとき、山で採ってきた葉っぱの化石が入った箱です。でも、なぜ、ここに?

蔵から長男が見つけ出してきたのです。そういうものに興味を持つようになったのですね。入谷の五十嵐さんという方の案内で山に入り、父と従兄と弟で化石の採集にチャレンジしました。めぼしをつけた岩を、ハンマーで軽く叩いて割ります。さんざん空振りが続いた後で、見事に鮮やかな葉っぱの模様が出てきたときは、驚き、感動しました。

おそらく父は、夏休みで都会から帰省していた中学生の甥のために企画したのでしょう。よく私たちも連れて行ってくれたものだと思います。大きなお兄ちゃんといっしょに扱われたからでしょうか、「お父さんと、いとこのお兄さんと…」と書かれた説明の字が誇らしげです。

それから数日がたって、本山の境内で町内のラジオ体操が終わったあと、子どもたちが一斉に御堂の縁の下に飛んでいきました。縁の下は金網で入れないはず…なのに、いつのまにか30センチぐらいの幅だけ金網が破れていました。子どもなら楽に入れます。「化石をみつけたんや」「ほんとか!」

縁の下にはいってすぐのところにある60センチぐらいの岩。父親でなく、おじいちゃんを呼んできて鑑定してもらうあたり、子どもも大人の得意分野を知っていますね。本当に葉っぱの化石だと判明しました。層になっていて、叩くとまだ出てきそうです。

大きさからして、後で持ち込むことは不可能です。縁の下の土は入谷、池田あたりの山からもってきているので、明治初めの再建の際、土といっしょに運び込まれたのだと思われます。幼いときには何回も入っているのに、化石には気がつきませんでした。

以来、子どもたちは縁の下に入っては、「秘密な」「秘密やぞ」と確認しあっています。みなさんも、秘密、秘密ですよ。

息子が蔵から化石を出してきた直後に、縁の下で化石を発見するなんて、偶然といえばそれまでですが、何か不思議な縁を感じます。縁の下だけに…

私の化石採りの記憶は全く色あせていません。お金を使って得られる楽しみもたくさんありますが、やっぱり親子いっしょに汗を流して得た感動に勝るものはないのですね。

子どもといっしょに心に残る体験を、と思いつつ…7月は終わってしまいました。
夏休みとともに始まった我が家の化石ブーム。タイムカプセルからでてきた3年生の私に、「おい!父親になった自分!すぐに暑いとか、疲れるとか思ってないか、しっかりしろ!」といわれた気がします。私は30年前の父ほどの父親をしているだろうか-。

もうすぐ、すみれ組のキャンプ。次男にとっては初めてのキャンプ。親としては、二度めですが、長男のときと同じくらい新鮮な気持ちで、参加したいと思います。

集中豪雨の被害は想像を超えるものでした。家財はもちろん、思い出までも泥にまみれてしまった悲しみはいかばかりでしょう。心よりお見舞いを申し上げます。

化石の多くは水に流されて形成されたそうです。人間が「200年に一度の豪雨」といっても、自然のごくありふれた営みにすぎないのです。この夏は、子どもたちと自然に親しむだけでなく、畏れることも伝えようと思います。

       ※畏れる…神仏などを、人為の及ばないものとして敬い、身をつつしむ。

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