ありのままの
「ありの~ぉ♪ ままの~ぉ♪」 昨年はやたらとマスコミでそのフレーズが繰り返されて、保育園でも園児たちが口ずさみ、未だに私の頭の中ではリフレインしているのですが、みなさんはいかがですか?映画の内容もさることながら、その宣伝にかける圧倒的な仕組みとお金というのは、さすがディズニーです。
生活発表会のごあいさつで申し上げたように、「ありのままの」は私のほうが先に、昨年の発表会のごあいさつで使っております。ふだんの保育園での生活、遊び…子ども達の、ありのままの姿をお見せするのが発表会です。セリフにないアドリブや友達とのやりとり、笑顔あり、泣き顔あり…個性いっぱい、とっても楽しい、あったかい発表会だったと思います。皆さんも狭い会場を譲り合ってのご鑑賞、ありがとうございました。役員さんたちの爆笑プレゼント、園児たちも大喜びでした。
私たちが園児の頃の発表会はお母さんたちが夜なべで完璧な衣装を作って、当日も真っ白にお化粧されて、レコードにあわせて踊らされ、歌わせる…そんな発表会でした。ありのままでない、お人形さんにしたわが子を楽しむ行事だったのです。不器用な私。踊りの練習が辛かった思い出しかないのは悲しいことです。今の園児は幸せだなぁ、しみじみと感じました。
あっという間、あと一ヶ月で卒園式です。すみれ組のみんなは、小学校という次のステージへ。私はいつも、卒園児を誇りと自信をもって送り出します。子どもたちは家族の愛情と大人たちの温もりの中で、小さな成功と、小さな挫折、小さな感動と、小さな葛藤をたくさん経験しました。最近の様子を見ていて、ひとりひとりの「心」の幹がずいぶん大きく育ったなぁ、そう感じています。目には見えないけれど、保育園で培われた大きな力をもってすれば、小学校、中学校、高校、そして社会人…これから出会うさまざまな場面でも、がんばることができます。心からエールを送ります。
笑顔も、泣き顔も、しぐさがすべて愛おしいわが子。いつまでも手元で幼いままで、いてほしい…ひょっとしたら、そんな思いに駆られることもあるかもしれません。けれども一方で、大きく、やさしく、立派な大人に成長して欲しい…そういう思いもお持ちでしょう。親というのはそういうものですね。「あのままま」は、永遠にその場にとどまるということではなく、今を大切に受け入れながら、未来に向かってともに歩むこと。今のわが子が愛おしいからこそ、親には願いが生じます。慌てず急がず、「願い」も大切に育てていきましょうね。
本日、高校の卒業式を迎える長男は、いつもの朝のように淡々と登校していきました。入学時の作文では確か「祖父が一期生の学校に、入れていただいて恐縮」って書いていました。部活動の悔し涙、燃えた学校祭の作り物、そして勉強。三年間、よくがんばりました。もうすぐ(どこかの…)大学生になり、18年間住んだ家を出て行きます。「ああ最後の学生服姿…」とか、いちいち感傷に浸っている父親の気持ちなんか、前を向いて歩きだした息子には、わからないでしょうね。
今年度はこれで、おしまいです。一年間拙文をお読みいただいて、ありがとうございました。