ン? 具は?
木々の緑が濃くなり、蒸し暑さを感じる日も増えてきました。夏は、もうすぐそこですね。
5月は遠足もあって手作りお弁当が二回になりましたが、いかがでしたか。前日から買い物にいって、お料理の本とニラメッコしながら、イメージをふくらませ、早起きして…。「ママが作ったんやで」まるで宝石箱を開くようにふたを取って見せてくれる園児のほこらしげな顔。お弁当は作る人から食べる人へのメッセージなのだと思います。
遠足当日の朝のことです。息子たちもサッカーの試合や中学の部活動がありますから、食卓には中身の到着を待っている弁当箱が並んでいます。ひとつ、ふたつ、みっつ…あれ~っ? 一個足りないような…。「今日、保育園の遠足なんやけど…」
「えっ、そんなの聞いてないわ!」「最近、忘れっぽいな。前、言ったって。もう、時間ないから、オニギリだけでいいよ」自分の子が保育園の頃は朝四時に起きてサッカーボールやアンパンマンとかタコウィンナーとか、出発ぎりぎりまで必死の表情で作っていた妻ですが、今はテキパキ、手馴れたものです。オニギリの具にカラアゲやミニハンバーグ、シュウマイをいれたりします。見た目より中身なのはスポーツ少年団で教わった知恵です。
雨の予報では仕方がありません。行き先は「芝政」になりました。入場料十数万円は、みなさんの笑顔のために。玄関で出迎える案内係の人「先日営業に伺ったものです。本日はありがとうございます!」ひょっとして、お兄さん、雨乞いしてたんじゃないの?「いえいえ、と~んでもございません」なんだか時代劇の越後屋の顔に見えます。
フワフワで飛び跳ねている子どもたちの挑発に乗って、鬼ごっこなどするものではありません。とたんに汗だく、足ガクガクです。お花さん、お医者さん、パン屋さん、おまわりさんに八百屋さん…いろいろな職業のごっこ遊びができるコーナーは人気でした。ずーっと遊んでいる子がいましたが、夢のような場所に思えたはずです。満点とはいえませんが、雨天の遠足場所としては、まずまず楽しめたのではないでしょうか。
お昼前、ポツリ、ポツリと雨粒は落ちていますが、ほとんどの親子が外でシートを広げています。「園長先生~写真とって~」お母さんたちが丹精こめて作ったかわいいお弁当をカメラに収めてまわります。芝生の上で、みんなでお弁当を囲んで…家族の幸せ、温かさってこういうときに感じますよね。
さて、私も…とお弁当をあけたら、海苔つきのオニギリとウインナーとトマト。若干、いや、ほんとにシンプル。まあ、オニギリだけでいいと言ったから…。具は何かな。これがちょっと楽しみ…ひとくち、パクッ。ふたくち、あれ、具、ないな。みくち。ほんとに具、入ってないんだ~!
家に帰って、オニギリに具がなかったことを言ったら「そうよ」ケロッとしています。なんでかなぁ…。お母さんたちには、何が気に入らなかったのか、わかりますか?おかずやデザートを分けてくれたお友だち、ありがとうね。
保育園では週に三日、ご飯を持ってきますが、私のご飯の量は年々、少なくなっています。妻が夫のカロリーを気遣っているのです。たまに母がご飯を持たせてくれますが、弁当箱にはご飯がギュウッといっぱい詰め込んであります。高校生のときと同じです。母には母の、妻には妻の、それぞれの想い方があるもの。それぞれのメッセージはありがたく、いただいています。