ツバメが教えてくれたこと

「えんちょうせんせい、こわしたらあかんよ」
真新しい「ふたばキッズ」の看板にツバメが巣をつくりました。出張から帰ってきたら、すっかり形ができあがっていて、ビックリ。「こわしたらあかん」は4歳の女の子。だいじょうぶ、壊したりしませんよ。三日ほど前に卵を産んだらしく、メスが巣の中にいる時間が長くなりました。

ツバメはカラスなどの天敵から身を守るのに好都合な人家の軒下などに巣をつくります。ハチ、アブ、ウンカ、ユスリカ、シロアリなどの害虫を食べるので益鳥とされ、人間と共存してきました。「ツバメは田の神を負うてくる、ツバメが巣をかける家は縁起が良い、病人が出ない、火事を出す家には巣づくりしない…」などの言い伝えがあります。おもちゃの国の使者も、ツバメですね。

「野球に入りたいんやけど」
と、4年生の長男が言ってきました。確かに友達との野球ごっこが大好きで、興味はあったようなのですが、スポーツ少年団の練習は週四日。土日は全部つぶれるし、親としては二の足を踏んでいました。「秋まで待てないか…」と言いかけたら、もう、涙目。「よし、わかった! がんばれ」ユニホームを着たときの笑顔は本当にうれしそうでした。毎回、土まみれになって帰ってきます。「ついに、野球に入れたの」と、周囲から言われますが、正確には「入った」です。彼が、初めて自ら選び、歩んだ一歩です。

小さな頃からよくキャッチボールはしました。妻から「みんないっしょ遊んであげてよ」といわれ「6歳と4歳と2歳をいっしょに扱えんやろ」「こっちは大変なんだからねっ」などとケンカしたことも…。妻にとって子どもと遊ぶことは子育ての一環であり、家事を助ける行為だったりするのに、夫はイイカゲンな気分次第、自分の楽しみで遊んでる…というズレがあるのです。

男性はミニカーを集めたり、虫探しをしたり、用もないのに電車に乗ったり…「大人のくせに」常識では理解しがたい無駄をいっぱいします。精神的には子どもに近い。だからこそ、遊び心が必要な子育てに、本来、男は向いている…と自負しています。

とはいえ、「いつも都合がいいときだけ出てきて、私はいつもソンな役…」と、相変わらず妻の評判は良くありません。ツバメは普段、メスが卵を抱きますが、メスが食事に出ている間はオスが代わって卵を抱いています。そうですねえ…ツバメにできることが人間にできないはずは…と巣を見上げるのです。

朝、保育室に座っていると、誰か背中に乗ってきました。しばらく歩き回って前に回してみると、すみれ組の男の子。それを見て「オレもおんぶして~」「抱っこして~」と大きな子が寄ってきます。「おなかの上で寝ると気持ちいいなあ」クラスを仕切っているツワモノたちなのに、まるで赤ちゃんのよう。見れば、みんな、三番目の子でした。

家でも、子どもたちが椅子やソファーのように、私に無意識に乗ってきます。毎日、体のあっちこっちにたくさんの子を乗せながら、思うのです。子どもが一番必要としているのは、すごい玩具でも、豪華なレジャーでもなくて、いつでも入れるヒザであったり、乗れる背中であったり、ぶら下がれる腕だったり、上で寝られるお腹なのでは…。と。

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