目が泳ぐとは…
刈入れを待つばかりになった麦が黄金色に輝いて、田んぼの若緑色とあざやかなコントラストをみせています。数年間、職員採用試験で季語「麦秋」の季節は何?とたずねてきましたが、残念ながら正解した人はあまり記憶にありません。麦の秋は6月。「夏」の季語ですね。
すみれ組といっしょに西山公園にいきました。7月中旬並みの暑い日になりました。今回は丹南ケーブルテレビのカメラマン(ウーマン?お姉さんでした)とアナウンサーのお姉さんもいっしょです。去年、二葉保育園のすみれ・ひまわり組のお散歩の取材でデビューした人です。「取材される園長先生のほうが、めちゃくちゃ落ち着いてますよね」と初々しいインタビューをしていたのを覚えています。「またきたなぁ」と言う子もいて、すっかりお友だちです。
カメラマンさん、大変そうでした。起伏が多い西山公園、歩くコースを予想して先回りしてカメラを構えているのですが、「あの~ぉ、こっちにいきます」と担任の申し訳なさそうな声。「ごめんね、通して」ゼイゼイいいながら階段を駆け上がって列を追い越していきます。「がんばって」と、子どもたちからエール。「うん、がんばるわっ」
アナウンサーのお姉さんがすごく感心した場面がありました。動物園をみてきて、お弁当を食べる用意を始めたとき、数人の子が「汗かいた、着替えよう」「汚れた、着替える」とめいめいにリュックから服を取り出して着替えだしたのです。「園長先生、すごいですね」「えっ、何が?ほほっ、そうですかね」(ちょっと得意!)たくさん保育園や幼稚園を取材してきたお姉さんの目に新鮮に映ったということは、当たり前のようで、やっぱりすごいことなのでしょう。「着替えなさい」と、いわれなくても自分で判断できる子がたくさんいるということは。
教育委員会でたくさんの学校を訪問していますが、ここ最近、小学校の先生たちが一年生がどんな環境で保育されてきたのかに興味を持ち始めています。私が過去4年間、6割以上の子が保育園から入学する現状を重視すべきだ、一年生からでは遅い、保育園との連携が大切だ、と機会あるごとに主張してきた効果も多少あるかもしれません。
授業を落ち着いて受けられる子と受けられない子、というのはよくいわれることですが、たとえば給食で食べ物をこぼしたとき、ただ泣いていたり、立ちつくしているだけの子もいれば、さっさと自分で雑巾をもってきて片付ける子もいる。その違いは何か、ということだそうです。低学年の先生は保育園や幼稚園のうちに、ぜひ身に付けてほしいことは知識よりも意欲と忍耐力、生活力です、といわれます。
一年生の授業参観で「違いがよくわかりました!二葉でよかった!」というお母さんの声をお聞きしました。去年、私が感じた印象は手前味噌でなかったんですね。この調子でがんばります。
ケーブルテレビでは、西山公園の木々の緑と子どもたちのイキイキした会話が楽しめることでしょう。ただ…「園長先生、ここに子どもたちがいるつもりで」「お父さんやお母さんがいるつもりで」「カメラに向かって話してください、ハイ!どうぞ!」相手がいないのにしゃべるのって、ほんとうにやりにくいですよ。前回はインタビュー形式だから落ち着いていられたんですね。焦りました。目が泳いでいます。そんなおどおどする園長の姿も、どうぞお楽しみに。
「そういえば園長先生、電話ってニガテでしょ」と会長さん。大当たりです。実際に目の前に相手がいて話をするのなら、たぶん、総理大臣でも平気ですが、電話では、自分の奥さんでも緊張します。