相思相愛(園長だより11月)

お話をしながら、カメラはお腹の前で、さりげなく撮影します。子どもたちの自然な笑顔がかわいいのは当然ですが、先生たちのハツラツとした表情もなかなかステキ。心の底から子どもを愛しています。クラスはいわば十数人きょうだい、計画があり、指導もあります。大変です。子ども好きだけでは務まらないお仕事。そんな先生たちを応援しつつ、園内をウロウロして子どもたちに笑顔を届けるのが園長。もうしばらく、跳んで走れる「ジイジ」でいますね。

祖父母の会を開きました。会場はご本山。メインは瓶に色とりどりのドライフラワーやドングリなどを詰め、洗濯のりを注いで固定する「ボトルハーバリウム」作り。うーん、何を入れようか、考える孫を気長に見守るジイジ、バアバ。たくさんのかわいい作品ができました。竹とんぼ、なんでおじいちゃんは飛ばせるの?みなさん、紙や木や布でいっぱい遊んだ「昭和の子」。遊ぶ力はさすがです。お弁当を食べる頃には薄日が差して、境内あちこちで小さな仲良しの輪ができました。孫は祖父母から「やさしさ」をもらい、祖父母は孫から「元気」をもらう、相思相愛、相互補完。ご本山がやわらかな空気に満ちていました。

93歳の義母が転んで骨折して入院しました。西陣に生まれ育ち、比叡山麓、大津坂本の里坊に嫁いで数十年、多忙な夫を支え、小僧さんの世話やお客様の応対、庭掃除など、お寺の一切を取り仕切ってきた気丈な人です。入院したらまわりは病人ばかり、気が滅入って食欲が全くでない…痩せる一方です。娘ふたり、電話で思案に暮れていました。

ある朝、長男が磯で小さなカマスを釣ってきました。明日は日曜日、これ持って行ったらどう?孫が釣ってきた魚なら食べるよ、きっと。案の定、「病院食はおいしくないのよ…」おしゃべりしながら、お魚はペロリ。次の週は三男がタコ焼きを買っていきました。四つ食べた!今度は豊川から次男が名物の稲荷寿司を。「いっしょに食べよう」。三つ食べた!気力が戻ったのか、先週は立って歩くようになりました。

食べた!立った!歩いた!一喜一憂。おばあちゃんと孫たち、二十数年前とすっかり立場が逆転ですが、孫はおばあちゃんに「元気」を、おばあちゃんは孫に「やさしさ」を贈るのは同じ。今年もおばあちゃんを囲む忘年会ができそう。孫は男子6人、まだ独身。長生きしてください。

新聞をみてびっくり。菊花マラソン、毎年5キロに参加していたのに、どうしたことか、気の迷い、10キロコースに申し込んでいました。未知のコース、1時間ぐらいかかります。この歳になってドキドキ体験ができるのは、幸せなのかもしれません。