じごく!

「上は大水、下は大火事、なーんだ?」
昭和のなぞなぞです。いまの子どころか、平成生まれのパパママにもわからないでしょう。答えは「お風呂」です。

今年のお盆は去年以上に県外ナンバーの車を見かけませんでした。「帰ってここんでいい」と言わざるをえなかったおじいちゃん、おばあちゃん、辛いですね。

わが家のお盆は当然ながらほぼお仕事。終わるとホッとするぐらいですが、昔は(もう50年ぐらい前)、首都圏から叔母(父の妹)家族が毎年、帰省してきました。私はまだ6、7歳。いちばん覚えているのは本宅にあった五衛門風呂に従兄たちと入ったこと。大きな丸い釜に水をはって下で火を燃やすお風呂です。戦国時代に大泥棒の石川五右衛門が釜ゆでの刑にされたことに由来しています。お釜の底は熱いので板に乗って、そーっと入る。お湯がザーッとあふれる。キャーキャーいいながら入りました。隣の台所から母が「お湯加減は?」絵にかいたような田舎の生活。朝、散歩してきた叔父さんが井戸水で顔を洗って「あー冷たい、気持ちいいね」って。きっと福井で心と体をリセットしていたのでしょう。

刺激・活気という都会の魅力がことごとくリスクに変わった今、入ってくるのは悪いニュースばかり。東京に住む弟夫婦と生まれて間もない姪っ子が気になります。身体に気を付けて、来年こそ、帰省して田舎を満喫できますように。

園児たちに、お墓参りの話をしました。亡くなったひいおじいちゃんたちがいる、涼しくてきれいな「ほとけさまの国」(浄土)と、悪いことをした人がいく「じごく」(地獄)、どっちがいい?もちろんみんな、「ほとけさまの国!」って答えますが、むしろ地獄のほうに興味津々。血の池!針山!トゲの木!マグマのお風呂!?お部屋に貼った地獄絵のコピーが5歳児に大人気。昔から、お寺の和尚さんが子ども相手に地獄の絵解きをして善をすすめ、悪を戒めてきました。怖いくせに、怖いものが大好きな子どもの特性をうまく使っていたのでしょう。私も落語などに登場する地獄、キライじゃありません。行きたくはないですが。

地獄に関する絵本がけっこうあります。「じごくのそうべえ」「いちにちじごく」「じごくのラーメンや」「じごくにアイス」…。園にそろえているので、お子さんが借りてきたら、ぜひいっしょに楽しんでください。

互いに助け、分かち合うのが浄土。互いに足を引っ張り、奪い合うのが地獄。この世を浄土に近づけるのも、地獄にするのも、人の心。コロナ禍の中だからこそ、しっかりしないと。子どもたちがみています。