ふーふー

 2歳児のお部屋に、ままごとコーナーがあります。ごちそうが並んだテーブルをはさんで女の子と男の子。もうひとり、イスにお人形が座っています。赤ちゃんです。「はいどうぞ」私にも大根の入ったカップをくれました。「熱いんやで」スープですね。スプーンに移して「ふーふー」してから、そーっと、赤ちゃんの口元に。おうちでお母さんがしていることを再現しているのでしょう。なにげない日常、家族の言葉がけやしぐさに愛情を感じている子どもたち。やさしく育てられた子はやさしい人に育つ―。三人の男児の子育てに追われていたかつての自分、いまさらですが、反省することも多々あります。

 いまや息子たちは成人して関東に二人、京都に一人。普段はほぼ二人暮らし。夕食はカンタンに済ませることが多くて、先月も遅くなったからガストでおつまみと100円のワインを二、三杯。家に帰ってから結婚記念日だったことを思い出しました。29年目でした。クルマのナンバーを結婚記念日にしているのに、古い夫婦なんて、そんなものです。

 後日です。こっそりフレンチレストランを予約して、コンサートにいった後にサプライズ演出をしてみました。ところが…「忙しいのに何を考えているの」と妻はゴキゲンななめ。車内に暗雲が立ちこめます。ピンチです。予約してしまったから…と、気まずい雰囲気のまま、レストランへ。玄関で「藤さまですね、お待ち申し上げておりました」と若い男性ソムリエがお出迎え。きれいなお庭の見えるテーブルに案内されました。ソムリエくん、きけば長男と同い年じゃないですか、さすがです。次々と登場する素敵なお料理とともに 楽しい話題を提供してくれました。ワインを勧めるのが本業でしょうが、笑顔の花を咲かせるのが上手い。妻の機嫌もすっかり直って快晴!よかったぁ。少し高くついたけど、温泉に行ったと思えば…。来年はさりげなく息子たちにアピールしておきます。

 いよいよ夏の空気が満ちてきました。夕涼み会に向けて、太鼓の練習がはじまりました。なかなかの曲をめざしているようです。来週は七夕。長袖長ズボンに軍手に帽子、完全装備で本山前の竹やぶに分け入り、ナタで竹を切り出しました。待ち構えていた五歳児たちが担いで、ワッショイワッショイ!玄関前に立てかけました。皆さんも短冊に願いをいっぱい書いてください。私の願い…世界中の子どもに笑顔を、そして世界に平和が訪れますように―。