日脚伸ぶ

25歳。家族が卒業式に出るような年齢ではないですが、思うところあって夫婦で出席してきました。久留米市にある陸上自衛隊の幹部候補生学校。防大卒あるいは一般大卒で試験に合格した候補生が10カ月の教育を受けます。自衛隊では「もう二度とくるめー」と揶揄されるほど厳しい訓練で有名で、防大を出とはいえ果たして息子が続くか不安でした。とくに訓練がきつくなる夏から秋にかけて、いつ弱音を吐くかハラハラしていました。362人。一人ずつ名前を呼ばれ、登壇して証書をいただきます。不覚にもウルウルきてしまいました。粉雪が舞う中、卒業生が校門に向かって行進していきます。さまざまな迷い、悩みを経てきたのでしょうが、みんな、いい顔。全国の部隊に散っていきました。これから本番。がんばれ。

三兄弟の真ん中で、虫や動物が大好きな気弱な子。保育園の発表では後ろに隠れていたし、小学校でも目立たない子でした。ロボコン愛で高専へいくも留年、中退。なに?防衛大を受験したい?おまえにはムリ!と何回も押し問答しました。二回目の受験で合格、四年間の集団生活。あまりの負荷に心折れたことも。回り道しながらも、ここまで歩んできました。ただ、どの学校でも彼を認め、寄り添ってくれた先生や仲間がいました。感謝しています。

いろいろとありすぎの人生。何がご縁でどうなるか、仏さましかわからないものです。

三人のうち、やっと一人、あがり、ですか。次々展開する現実に向き合うしかないのですが、親のドキドキはいつまで?結婚して、孫ができるまで?親ってなかなか終わらない、終われないもの…ですね。

「日脚伸ぶ」は冬の終わりの季語。寒さは厳しいものの、日が長くなり夕方に園庭で遊ぶ子が増えています。園生活もそろそろ一年のしめくくりです。生活発表会では日ごろの遊びのエッセンスを、ぎゅっと詰め込んで、かわいい笑顔をいっぱいお見せします。お楽しみに。

お月さまがピンポン玉だとしたら、地球はドッジボール。さあ、地球と月の距離はどれぐらいかな?園児たちは週に一度の「園長先生のお話」コーナーを楽しみにしてくれています。ピンポン玉を持った子がどんどん離れます。お部屋の隅っこまで。地球と月って、イメージよりずいぶん離れていますね。秋にロケットで送り出した月面探査機「スリム」が逆立ちで目標地点着陸に成功、太陽電池も復活して観測活動を再開。最近、数少ない明るい話題です。

今日はどんなお話?って、毎回、目を輝かせて聞いてくれるこの子たち。目の前にひろがる世界は金魚鉢ではなく、大海原。途中で嵐にあうかも、航路もどおりにいかないかも。それでも前に!すすんでほしいです。