30秒のデート

夜明け前、朝のお勤めがあります。夏には跳び起きていた私も、いまは寒い、眠い…布団を出るのが億劫。でも、お経で声を出して、ふたつの御堂をまわって二千歩超。身体がいい具合に温まって、自宅に戻るころには元気ハツラツ。「おはよー!」って、毎日、みょーにテンション高い夫に起こされる妻、さぞかしウザイことでしょう。朝ごはんもおいしく食べることができます。とはいえ、8時ぐらいに一旦電池切れ、少しウトウトしてから、園にきています。

家庭と仕事、大人なら車の中でも気持ちを切り替えますが、子ども、とくに小さな子はカンタンではないでしょう。日が短くなる季節は春先の次に玄関で泣く子が多い気がします。

朝の9時前後、登園児を受け取る視診担当の先生もいっぱいいっぱい。「ママ~」「ばあちゃーん」泣き声が聞こえて、「園長先生、お願いします💦」って声がかかります。この子は歩いていくな…いっしょに行こう、と右手を差し出せば、手をつないでくれて、奥の部屋までいっしょに歩いていきます。私の人差し指と中指をギュッとにぎる小さな手…今日も楽しいといいね、気持ちが伝わるでしょうか。お母さんから抱っこで受け取る子もいます。私の抱っこ、意外と居心地がいいようで、脱力してピタッと身を任せているのがわかります。玄関からお部屋までの30秒ほどの、ふたりの時間。その子が泣き止んで、できたら笑顔が出るまで。一日の園生活をニュートラルで始められる…よかったぁ、と思います。

「いってきまーす!」どこいくの?「ふーちゃんち!」今日は貴重なお天気。年長組のお散歩はなかなかの遠出です。谷あいの一本道、森を抜け、川沿いになると、もうすぐ。おばあちゃんが出迎えてくださいました。さらに紅葉盛りのお山のふもと、子安観音さんまで足を延ばしました。十年ほど前までは晩秋に4、5歳児でここまで歩くのが恒例でした。久しぶりに子どもたちと来た幸せをかみしめながら、坂を駆けあがりました。お寺の階段に座って若坊守さんにいただいたおせんべいをかじっていたら、バイクがブブブ…って上がってきました。ジイジ!ふーちゃんのじいちゃんがジュースを買ってきてくれました。往復8キロちかく、誰一人へこたれることなく、楽しくおしゃべりしながら、歌をうたいながら園まで戻ってきました。頼もしいかぎりです。

ひと月したらお正月。なんか実感がわきません。年長さんは二葉の生活もあと少し。おうちの方もいっしょに、楽しんでください。