ぺこちゃん

けれど年に2回 8月と1月 人ははにかんで道を譲る  故郷(ふるさと)からの帰り 

束の間  人を信じたら もう半年がんばれる 

 

中島みゆきさんの「帰省」という歌。機械仕掛けのような都会暮らしの人が、お盆と年末年始 年に二回、帰省して、人の温かさに触れ、やさしさを取り戻し、もう半年がんばれる…という歌詞です。

夏休み、花火大会、お盆、そしておまつり。8月は子どもにも大人にも、特別な月ですね。

台風接近が遅くなって、いつものように賑わった大寄り。千円札をたくさん用意して、人とあいさつを交わしながら、夜店の並ぶ境内、どれで遊ぼうか、何を食べようか…年に二日かぎりの「おまつり」はプライスレス。夜のやんしき踊りのしらべには、夏の終わりの寂しさも感じますが、それもまた魅力ですね。

中学校の同窓会がありました。担任の先生方は八十歳前後、とってもお元気でした。白黒写真が多い卒業アルバムをめくれば四十数年前の記憶がよみがえります。転職、退職、孫、そして持病…還暦ならではの話題に事欠かず、各テーブル、おしゃべりがとまりません。

え?まさよちゃんがきてる-。保育園の子は大好きなお友だちと「けっこんする」といいますよね。当時、私は、まさよちゃんとけっこんする-、と言っていました。そして、両親がやけに話をそらすのを幼心に不自然に感じていました。(大人げないね)。何をして遊んだかは覚えていないけれど、手をつないで、毎日のようにお互いの家を行き来しました。坊ちゃん育ち?弱虫泣き虫だった私、いつもやさしいまさよちゃんが大好きでした。

小中学校ではただのクラスメートという感覚しかなかったのですが、保育園で働くようになったら妙にあの時が懐かしくて。まぁるい目にふっくらほっぺ。不二家のぺこちゃん人形を見るたび、まさよちゃんを思い出していました。二十年ぐらい前、県の指導監査通知をみてびっくり。なんと監査官がまさよちゃん!当時の副園長横山先生も「あら!なつかし」そのときばかりはイヤな監査を楽しみに待っていました。けど、来園したのは別の人。残念でした。

「あのときは手心加えてしまいそうだったから遠慮したの」ときめきすぎて?少ししかお話できなかったけど、姿も声も、やっぱり、やさしいまさよちゃん。うれしかったです。彼女、いまは県庁で監査のスペシャリストになっています。

今でもみんなが、「こうしんちゃん」と呼んでくれる幸せ。ほんの一瞬ですが、童心に戻って、明日から、また、がんばろうって、力がわきました。

  • 四歳児のときの思い出が、数十年たった今でも私の中で輝いています。毎日、園でいっしょに過ごしている子どもたちだって、同じはず。小さくても感受性は大人の何倍も豊かです。園児たち一人ひとりと交わす目線、言葉のひとことを、大切にしよう…あらためて、思いました。